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    ■52   零 〜白霧の家〜 12 
    □投稿者/ 瑠雨 16回-(2014/08/19(Tue) 21:14:07)

    ―ぱさり。

    三人はその音に一瞬驚いた。
    いつの間にかいた書庫らしき場所。
    落ちたのは一冊の本。

    「何だこれ…虹贄祭(にじにえさい)?」

    修斗がタイトルを読み上げると本を開く。
    そこにはこうあった。



    虹。
    それはこの世とあの世を繋ぐ橋なり。
    繋いでいれば魂が行き来する。
    それには『色持つ子』の力と『虹巫女』が必要。
    『虹巫女』は『白』くなくてはならない。
    しかし、『黒』によって『逆色』が行われ、虹は家に散らばった。
    『逆色』こそ『虹贄祭』の始まり。


    「…意味わかんねー」
    「兄さん、その本…下さい」
    「ほれ」

    竜斗が本を手に取ると、眩いばかりの光が三人を包み込んだ。
    それは、過去へといざなう光。
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    ■51   零 〜白霧の家〜 11 
    □投稿者/ 瑠雨 15回-(2014/08/17(Sun) 22:15:09)

    「李斗、無茶すんじゃねーぞ」

    こくりと李斗は頷くが、先ほどの言葉―『君の中の巫女』がわからない。
    自分の中に誰かいるのであろうか。
    その人物が声を妨害しているのか。

    早く、喋りたい。
    ただただそう思う。
    その度に否定される。


    ―ねぇ、誰?
    あなたは、だあれ?
    どうして声をもっていったの?
    わかんないよ。

    ふと、持っていた鏡を見つめる。
    そこにはいつもと変わらぬ自分がいたように思えた。

    見たことない女性が一瞬、後ろにいた。
    叫ぼうとしたが声が出ない。

    「李斗」

    はっと我に返ると目の前には、兄達。

    「大丈夫ですよ」
    「心配ないからな」

    彼は頷き、兄達の手をとった。
    鏡はそっとポケットへ。
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    ■49   零 〜白霧の家〜 10 
    □投稿者/ 瑠雨 13回-(2014/08/17(Sun) 10:01:28)

    <ぐっすん、ひっぐ…>

    光と同じ色の髪を持った、一回り大きな子供が泣いている。
    何を意味するのか。
    わからなくて、走り出す。
    その、『籠の中』へ。

    <…駄、目…俺からだと…>

    脳内に聞こえる声。
    青年は足を止めて耳を澄ます。

    <俺から、だと…『逆色(さかいろ)』に…>
    (さか、いろ?)
    <う、ん。だから、先に…>

    ―『赤』からたすけて。
    俺は最後に。
    そうすれば君の中の巫女さまは…。

    ぶつん。

    『声』が消えて青年は倒れる。
    気がつけばいつもの場所からやり直し。
    でも、その前に。







    ―零菜、どこだ。







    その声まで、きこえてしまった。
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    ■50   (無題) 
    □投稿者/ 瑠雨 14回-(2014/08/17(Sun) 10:02:57)

    メモ

    橙色:ほーく
    藍色:いーぐる

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    ■48   零 〜白霧の家〜 9 
    □投稿者/ 瑠雨 12回-(2014/08/13(Wed) 06:21:27)

    ちりー…ん。

    何処からか風輪の音が聞こえる。
    外を見ても朝かも夜かもわからない。

    (あれ?)

    ふと、あるものが李斗の目に入る。
    恐らく七夕の際のものであろう、飾りつけられた笹がぽつんと置いてある。

    「お、どうした?」

    少し離れて歩いていた修斗が駆け寄ってきた。
    李斗が笹を指差した。

    「あー…七夕なぁ」
    「やっていたんですかね」
    「そうかもしんねぇな」

    ちょっと見てくるわ、と修斗が中庭へ出ていくと。

    <うわああああああん!>
    (え、な、何!?)

    突然の大声に耳を塞ぐ李斗。
    竜斗には聞こえなかったらしい。

    「李斗…、誰かいた?」

    彼は頷く。
    しかし、兄を置いてはいけない。
    暫くして修斗が戻って来た。

    「おい、竜。これ…」
    「その短冊が何か?」

    修斗の手の中の色とりどりの短冊には『願い事』よりも『札』のほうが正しいような文字が浮かんでいる。
    竜斗の目はそれを読み解いていく。

    「…成る程。持っていたほうがいいですね」
    「んじゃ俺が」
    「いえ、李斗に」
    「ちぇー」

    不満げに短冊もとい『札』を李斗に預けると、李斗が耳を塞ぐ。
    何か聞こえるようだ。
    李斗が、声のほうへと指差す。
    目をこらすと、ぼんやりとした紫色の光が見えた。

    「あれか?」
    「恐らく…あ」

    竜斗の手から李斗が離れていく。
    二人も後を追う。
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    ■47   零 〜白霧の家〜 8 
    □投稿者/ 瑠雨 11回-(2014/07/21(Mon) 19:28:17)

    あの人、見覚えがあるんだよね。
    誰だっただろう。

    僕が知らないだけだろうか。

    「李斗?」

    不意に声をかけられた。
    竜兄さんだった。
    僕は何でもない顔をした。

    突然、足を掴まれる。
    気がついた竜兄さんが助けてくれた。
    修兄さんは目の前の敵に夢中。
    修兄さんが危ないんじゃないかと思う。
    僕の声が出ていたらな、と思った。
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