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記事No.32 [テイルズオブケンプファー#15 恐怖への反撃] 返信ページ | |
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■32 テイルズオブケンプファー#15 恐怖への反撃 | |
□投稿者/ Castella 19回-(2012/08/18(Sat) 20:57:37) |
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だが此処で、急に切羽の詰まった声が無線越しに響き渡った。 「…待て!前言を撤回!ガイスト発見!繰り返す!ガイストを発見!!」 うっすらと見える本州の地形の背後から、青紫のプラズマ弾が次々と打ち上げられる。 花火大会のように打ち上げられたプラズマは、重力の影響を受け空中で迷ったかのように上昇を止める。やがて迷えるプラズマ弾は下降をはじめ、海上を航行する拓馬らのLVに目をつけた。プラズマは岩石のように海面へと激突し、近辺を航行するLVを激しく揺さぶった。 「モウザーか!?プラズマで俺たちをやる気だな!みんな気をつけろ!」と、柊が言うのと同時に“Take cover!”とシンも叫ぶ。 更に別のプラズマが拓馬らの真正面に落ちた。 「―――心配ない!連中は山の向こう側から当てずっぽうに打ちまくっているだけだ。だから滅多に直撃なんてしない」 天龍は自分の部下を落ち着かせた。同時に水しぶきが拓馬らの頭上を被う。 拓馬が再び上空を見上げると、丁度前方でヘリがプラズマ弾の直撃を受けているところだった。…当てずっぽうじゃなかったのか!? 「フォーゲル1-8(ワン・エイト)墜落!フォーゲル1-8を失った!」と、無線越しに誰かが被害報告をする。 「HQ了解。総員戦闘配置。繰り返す、総員戦闘配置についてください」 ヘリは逃げるように分散したが、その後もプラズマ爆撃は続いた。あるプラズマはヘリコプターをやすやすと引き裂き、あるプラズマは拓馬らの隣を航行していたLVを木っ端微塵に粉砕した。それだというのに、拓馬らはただ傍観するしかない。そのうえ、このLVは気が遠くなるほどゆっくりと航行している。一体いつになったら上陸できるんだ?このまま海上で射的の的になるのは、何が何でも願い下げだ。拓馬は爆撃に怯えながらそう思った。 「哨戒艇ゼーレーヴェ9-6(ナイン=シックス)よりHQ!モウザー級ガイストが本州から爆撃してきた!我々では対処不可能だ!」 「了解です!今アンタレスが駆除に向かっています!」 だがそう言っている間に、プラズマは容赦なく落下してくる。 拓馬らが乗るLVと、こちらを守るヘリや哨戒艇はまったく無力だった。それらはLVの護衛任務を請け負っているはずだが、結局自分らが生き延びるのに精一杯という無様な状況に陥ってしまっているのだ。 「―――くそっ!アンタレス・リーダーが撃ち落された!地形の影にモウザーがうじゃうじゃ居るに違いない!此処はマズいぜ!」 「それより何とかして連中を黙らせろ!死者が増える一方だぞ!」 「アンタレス・ツー、指揮を引き継いで任務を継続しろ!」 「プラズマ弾は熱原感知で誘導しているぞ!こっちが返り討ちにされちまう!」 海面に次々と水柱が上がる中、ソース不明の音声がごみの山のように積みあがっていく。 一方、柊は蛇行して何とかLV=426号車をプラズマの爆撃から守っていた。だが海上を亀のようにのそのそと進むLVでは、回避行動にも限界がある。このままではプラズマによってローストチキンにされる運命にあるだろう。 「―――隣の哨戒艇が直撃弾を食らった!だめだ!あの様子じゃ生存者は居ない!」 「HQからLV各車へ。大至急陸地へ退避してください!繰り返します。大至急上陸してください! 海上では目立ち…」 「そんな事ぐらい解っている!それより上の連中にモウザーを始末させろよ!」 海上に居る面々たちに、落下してくるプラズマを防ぐ手立ては無い。鈍重な車体で行う回避行動が、唯一の対抗手段だ。 そこで突然発言者不特定の音声が告げた「シュヴァルツヴァルターだ!」 拓馬は降り注ぐプラズマと水しぶきの中、周囲に目を凝らした。 …居た!右前方から10体ぐらいの黒い竜…通称スメルチが、急速でこちらに向かってくる! LV426の真上に居たゼグラーフォーゲルは敵めがけて速度を上げ、装備された機関銃で迎え撃った。だがそのヘリは真っ先に襲われ、口から吐かれたプラズマによって打ち落とされてしまった。一方、別のフォーゲルは1騎のシュヴァルツヴァルターを撃ち落したが、別の竜が拓馬らの前方を航行していたLVに狙いを定める。鋭い足がLVを紙切れのように引き裂き、無線越しに断末魔の叫びが轟く。 「―――各機!車両に化け物を近づけるな!」 「フォーゲル7-2(セブン・ツー)、第4グループ上空に回る」 「気をつけるんだ7-2!そのエリアはモウザーの集中攻撃を受けているぞ!上空に注意するんだ!」 1機のフォーゲルが銃口を光らせながら、拓馬らが乗るLVの真上へスライドしてくる。だがほんの数秒後に落下してきたプラズマ弾の直撃を受け、ばらばらに吹き飛んでしまった。それの破片と思われるプロペラが海面を跳ねて没する。 「またやられたぞ!」と、柊。 ここで天龍が口を開いた「もう飛行機は当てに出来ん!皆、シュヴァルツヴァルター(スメルチ)を叩き落せ!」 LV=426号車に乗る面々は一斉に上空へ発砲した。拓馬も車両に備え付けられた機関銃でシュヴァルツヴァルターを狙う。 ―――黒い悪魔が空を舞い、海上の人間を弄んでいる。 あるときは口からプラズマ弾を吐き出し、あるときは脚部から鋭利な針を飛ばす。そしてあるときは刃物のような足で獲物を空へと拉致していく。 少しでも油断したり、運悪く狙われたりすれば、あっという間にあの世行きになってしまうだろう。あの鋭い脚に捕らえられれば、人間の体なんてズダズダだ。もちろんプラズマを食らったって、チーズのように溶け始めるだろう。自分がそうなる姿を想像して、心が恐怖に支配される。そんな圧倒的な暴力を持った相手に、どう立ち向かえばいい? 「シュヴァルツヴァルターが更に接近中!」 「くそっ!プラズマ爆撃を回避しながら車を守るだと!?更にシュヴァルツヴァルターの相手だなんて正気の沙汰じゃないぞ!」 「とにかく一刻も早く車両の上陸を急がせろ!敵の迎撃急げ!」 ―――とにかく応戦せねば! 拓馬は飛来するシュヴァルツヴァルターを狙い、備え付けの機関銃で応戦する。それに、あれと戦うのは初めてじゃない。落ち着いていけ。とにかく自分を奮い立たせると、拓馬は車載の機関銃のボルトを一気に引いた。ガシャリという切れのいい音が鳴り、弾丸を装填した。これで撃てるぞ。拓馬は心の中で恐怖への反撃を始め、現実では暴力への反撃に出た。 「拓馬!2時方角から敵が来るぞ!奴らを仕留めるのは難しいが、追い払うことぐらいは出来るはずだ!」と、拓馬の肩を叩きながら天龍が言った。 3騎の黒き竜が反転してこちらに向かってくる。その中の1騎は、戦車を運んでいたホバークラフトをプラズマで轟沈させる。そして別の1騎が脚部からニードルを飛ばしつつ、拓馬らが乗るLVに突入してきたのだ。ニードルはLVの車体を激しくノックする。 「おい!これじゃ本当にタイタニック号の二の舞になっちまう!救命ボートは半数分どころか一人分だってないからな!」と柊。 「まあ落ち着けってヒイラギ。それより応戦だ。弾幕を張るぞ。南部!隣の銃座につけ!」 天龍は的確に状況を判断した。こんな機関銃ではシュヴァルツヴァルターは落とせない。だから無理に撃ち落すことより、こちらに危害を加えてきそうな敵を追い払うことに専念する。二人の砲手にもそれを徹底させた。敵がこちらを仕留めるには、当然ながらこちらに突っ込んでくる形をとらざるを得ない。つまり、こちらに向かってくる敵を狙えば防御が成立するということになる。 「…LV-569号車が爆発した!誰か救助に迎えるか!?」 「ヤメロ馬鹿!そんな余裕は無い!それより早く上陸するんだ!」 だがその案は完璧な防御プランではなく、今出来る唯一の抵抗でしかないのだ。 このLVには二門のマシンガンがあっても、敵がそれ以上の数で攻めてくれば対応が不可能になる。それ以前に、二門のマシンガンで1体のシュヴァルツヴァルターを止められるという保証も無いのだ! 「おいでなすったぞ!急降下してくるあいつに弾幕だ!」 天龍の指示通り、拓馬と南部は上空に連射した。だが悪い予想通り、銃弾の雨の中を敵は堂々と突っ込んでくる。 そしてその敵は拓馬らのLVを踏みつけようとした寸前で、爆発に飲まれ海面に没した。 しばらくして拓馬は状況を理解した。数百メートル後方の、戦艦ヴァールハイトが助けてくれたのだ。そのヴァールハイトは今も機関銃やらミサイルでシュヴァルツヴァルターに弾丸の雨を浴びせており、間もなく化け物は尻尾を巻いて逃げていった。 「―――アンタレス・ツーから全部隊へ。モウザーを排除した。もう、大丈夫よ」 女性パイロットの通信を聞き、拓馬は再び周囲を見回す。確かに降り注ぐプラズマが止み、残りのシュヴァルツヴァルターも撃退されていた。 海面には撃破された哨戒艇やLV、ヘリの残骸がいくつも漂っている。先ほどまで空を飾っていたヘリコプターの大群も、今では数えられそうな程度しか残っていない。だがそれでも、LVだけはまだ十分な数が生き残っているようだ。 「フォーゲル3-9了解。アンタレス、そちらの損害は?」と、無線越しに那智徒虎の声が聞こえた。そしてあの爆撃の雨の中を生き延びたのか?と、拓馬は再び驚いた。 「アンタレス2のラグランジュです。ローゼンベルグ隊長を含み、多数の同僚を失いました。今は臨時に私が指揮を執っています。そちらの状況は?車両は無事ですか?」と、無線越しに落ち着いたトーンの女声が響く。そこで天龍は「今の声の主はきっと美人だぞ」と呟いた。拓馬も流れに乗る形で軽く同意し、生き残ったレンジャーたちもにやりと表情を崩した。 「ラグランジュ君かね?また会えて嬉しいよ。こちらもかなりの数のヘリを失ったが、まだ多くの車両が浮かんでいる。作戦の継続は可能だろう」 「アンタレス了解。HQへ。我々は武器の補給のため船へ戻り、補給後にまたそちらへ合流します」 「HQ了解しました」と、天谷しあの声が続く。 拓馬は周囲に敵が居ないのを確認し、タバコを吸っているかのような機関銃から手を離した。振り返って後部の乗員デッキを見下ろす。みんな無事だ。拓馬は一安心して大きく息を吐いた。 そこで柊が「さすが天龍将軍。見事な戦いでした」と、賛辞の言葉を述べる。一方天龍は「おまえの運転も上等じゃないか」と言い返した。話の流れから言えば世辞とも受け取れるが、他の多くのLVがプラズマによって粉砕されたという事実がある以上、柊の運転技術が拓馬たちの生存に貢献したというのも事実であろう。 そこで唐突に無線が入る。 「…教官。黒松です。シュトルムピオニア第2班と共に、すぐ後方にいるLV=223号車に乗っています。上陸後にお会いしましょう」 あの男のような女子こと、黒松サクラも参加していたのか。と、思う拓馬。 そして、以前の戦いで出会ったユンゲルスやクレッチマン。そして平沢や中野といった面々も、この作戦に参加しているのだろうか? 「―――おう。無事で何よりだ。だがまもなく上陸だ。敵が待ち伏せしていてもおかしくは無い。注意を怠るなよ」と、天龍。 「了解です教官。ピオニア2-1交信終了」 ―――立ち上る煙が徐々に薄れ、上陸地点と思われる海岸が視野に入った。 海岸は白い浜と青い海の二色がたくみに混ざり合う芸術的なキャンバスに…なっては居ない。そこには墜落したヘリの残骸と、爆撃うんぬんで燃え上がる炎があるだけだ。その炎の向こうには、一体何が待ち受けるのだろうか?拓馬は期待や恐怖、興奮と言った様々なものが湧き上がるのを感じた。 海岸が迫る中、柊が言った「上陸まで30秒ってところです!将軍、あなたと一緒できて光栄です!さあ、一発ぶちかましにいきましょう!」 |
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